中小M&A「資格化」が意味するもの。制度推進の背景と、真に問われる支援の質

こんにちは。株式会社M&Aiの小堀です。
最近業界内で話題となっているニュースがあります。それは、経済産業省・中小企業庁が準備を進めている「中小M&A資格試験」の創設です。

銀行員時代から数多の事業承継やM&Aディールに伴走してきた実務家の視点から、国が資格化を検討する背景となる「業界のリアルな課題」と、これからのM&A支援に真に求められる質について紐解いてみたいと思います。

【解説】「中小M&A資格試験」創設の背景と概要

まずは、今回のニュースの前提となる制度の具体的内容と、国が抱いている課題感について整理します。
2026年3月末、中小企業庁は「中小M&A資格試験実施事業」に関する公募を開始し、資格制度の運用に向けた具体的な要件を公表しました。本制度の主な概要と創設の意図は以下の通りです。

  • 制度創設の意図と課題感】
    経営者の高齢化と後継者不在を背景に、中小企業のM&A市場は急速に拡大しています。
    それに伴いM&A支援機関(仲介業者やFA)も急増しましたが、支援の「質」のバラつきが深刻な課題となっていました。
    具体的には、「リスクに関する依頼者への説明不足」「買い手と売り手の間での利益相反」「不適切な買い手の排除不全」など、専門知識や倫理観の欠如によるトラブルが散見されました。
    こうした状況を防ぎ、質の高いマッチングを担保することが本資格の最大の目的とされています。
  • 制度の具体的内容(2026/3時点の想定)】
    対象となるのは、現在「M&A支援機関登録制度」に登録している専従者(約10,000人規模)を中心としたM&A支援人材。
    「知識」「倫理・行動規範」を問う4科目構成でのCBT方式(全国のテストセンターでのPC受験)が想定されており、業界における一定のスタンダード(基準)を設ける内容となっています。

M&A実務家としての視点:資格はあくまで「最低限の免許」

私たちM&Aiとしての見解ですが、最前線のM&A実務に携わる人間として、こうした資格制度によって最低限の知識と倫理観(コンプライアンス)が担保され、業界全体の底上げが図られることには大賛成です。

しかし、これまで数多くのディールに関与してきた経験から断言できるのは、「本当に大切なのは、資格を持っていることではない」ということです。

資格は例えるなら「運転免許」です。
交通ルールを守り事故を防ぐための最低条件であって、「企業の成長という目的地」へ早く確実に到達するための「ナビゲーション能力」や「運転技術」を保証するものではありません。
制度ができたからといって、市場が完全に健全化し、すべてのM&Aが成功するわけではないです。

「M&A成立」ではなく、「企業価値向上」や「理想の承継」にコミットできるか

M&Aiが大切にしている理念でもありますが、最終的に問われるのは、我々アドバイザーが「顧客軸でM&A支援を設計・実行できるか」という本質が重要だと思っています。

M&Aは、成立させて終わりではありません。

単なる「マッチングの数」を追うのではなく、統合後のシナジー創出や組織の統合(PMI)を見据え、お客様の「企業価値向上」や「大切に育ててきた事業の承継」という本来のゴールに向かって対話ができているか。

私たちM&Aiが、「戦略×DX・AI×M&A」のフルスタック支援にこだわる理由もここにあります。
どれほど膨大な時間と労力が掛かったとしても、私たちは「単なるノウハウを提供する業者」ではなく、経営者の想いを代弁し、企業価値を”確実に”上げるための伴走者でありたいと考えています。

M&A業界の転換点とも言える今回のニュースに触れ、改めてお客様への責任の重さと、私たちが提供すべき価値の本質について身が引き締まる想いです。

自社の成長戦略や事業承継について、少しでも「モヤモヤ」を抱えている経営者様がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にM&Aiまでご相談ください。

株式会社M&Ai
COO 小堀 智恵子

【参考・出典】

中小企業庁:令和7年度補正中小企業活性化・事業承継総合緊急支援事業(中小M&A資格試験実施事業)募集要領(2026年3月27日公表) (※URLリンク:https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/itaku/kobo/2026/260327001.html

中小企業庁:M&A支援機関登録制度 / 中小M&Aガイドライン (※URLリンク:https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/m_and_a_guideline.html

朝日新聞 / ツギノジダイ:「中小M&Aの資格試験、創設へ準備」関連報道 (※URLリンク:https://smbiz.asahi.com/article/16463519